ROLEX(ロレックス)の腕時計を末永く使うためには定期的なオーバーホール(分解掃除)が必要です。自動車を所有している方が2年に1回車検を通さなければいけないように、機械式時計を所有している方も数年に一度、定期的なメンテナンスを受ける必要があります。
気になるのは「ロレックスの腕時計はどこでオーバーホールするのが良いのか?」ということだと思います。ロレックスの時計を所有している方は誰もが気になるポイントではないでしょうか?
そこで今回はロレックスのオーバーホールに関する2つの選択肢について解説していこうと思います。既にロレックスの腕時計をお持ちの方も、これから買う予定の方も必見の内容です。
①オーバーホールの適正タイミング
ロレックスは殆どのモデルが機械式ムーブメント(自動巻き)です。機械式時計は100を超える細かなパーツが精密に組まれて動く仕組みの為、定期的なオーバーホールが必要です。これを怠ると次第に各パーツは摩耗していき、やがて動かなくなります。ご使用状況によってオーバーホール周期は異なりますが、ロレックスは3~4年に1回のオーバーホールを推奨しており、ロレックス所有者はこの期間毎にオーバーホールを受けることが求められます。
オーバーホールではムーブメントを分解・洗浄したり、歯車のオイルを差し直したり、場合によってはパーツ交換をします。
主なオーバーホールの工程は以下の通りです。
・ケースからムーブメントを取り出し分解する
・一つ一つパーツを外していき、破損しているパーツがあれば交換する
・全てのパーツを超音波洗浄にて綺麗にする
・歯車などにオイルを挿しながら元通りに組み上げる
・時計の精度チェックや防水性チェックを行う
機械式時計は細かなパーツの集合体です。一つの部品の摩耗によって時間に誤差が出ることはよくあります。3~4年使用して1日に1分以上の狂い(進みや遅れ)が生じていたら、それはオーバーホールを依頼するタイミングといえるでしょう。不具合を生じたまま使い続けると他の部品にも負荷がかかってしまい、さらなる故障の原因となります。人間の病気と同じで、初期症状の間に直しておけば費用も安く済みますので、故障していると感じたらすぐにオーバーホールをしてください。
②正規店に修理を出すか?民間業者に修理を出すか?
基本的にロレックスの時計をお持ちの方は、オーバーホールを依頼する際に「2つの選択肢」のどちらかを選ぶことになるでしょう。1つは日本ロレックス社の正規修理サービスを受けること、もう1つは正規修理ではなく民間修理業者のメンテナンスを受けることです。
どちらにもメリット・デメリットが存在しますので、どちらに依頼をするか迷っている方は是非参考にしてみてください。
選択肢①日本ロレックスの正規サポートを利用する
正規サポートでオーバーホールをする場合は「日本ロレックス」に依頼をします。東京近郊に住んでいる方は「東京の丸の内にあるサービスセンターに時計を持ち込む」ことがオススメで、遠方の方や時間がない方は「郵送で腕時計を送る」のが一般的です。郵送の場合でも公式サイトから依頼をすれば無料で梱包キットを自宅に届けてくれるので、気軽に利用することができます。
日本ロレックスの正規オーバーホールは専門の時計技術者がメンテナンスを行いますので絶対的な安心感があります。パーツ交換の際に他社製の部品が使われる心配もないため、部品の一つ一つに至るまでの完全なる正規品として修理してもらうことが可能です。また、「正規修理保証書」も貰えるため、仮に売却することになっても本物であることを証明することができます。発行してから1年未満の証明書を持っていると、オーバーホール代が上乗せされた買取査定が提示されることもあるので、覚えておくとよいでしょう。
【気になる価格について】
ムーブメントの種類や機能によってオーバーホール価格は異なりますが、基本的には以下のような価格が提示されることが多いです(2022年2月現在)
※価格は全て税抜きとなります。
オーバーホール料金
ロレックス モデル名 | 時計修理代 |
---|---|
エクスプローラⅠ(214270,114270,14270等) | 70,000円~ |
エクスプローラⅡ(216570,16570,116400GV等) | 75,000円~ |
オイスターパーペチュアル、エアキング(14000等) | 65,000円~ |
サブマリーナ ノンデイト(114060,14060M,14060等) | 70,000円~ |
サブマリーナ デイト(116610,16610,16800等) | 70,000円~ |
GMTマスターⅡ(116710,16710等) | 70,000円~ |
シードゥエラー(16660,16600等) | 70,000円~ |
スカイドゥエラー(326235) | 100,000円~ |
ディープシー(116660) | 80,000円~ |
ヨットマスター(116622等) | 70,000円~ |
デイトジャスト(16234、16233等) | 65,000円~ |
デイトナ(116500、116520等) | 80,000円~ |
デイデイト(18038、18238等) | 80,000円~ |
あくまでもこの数字は基本料金であり、ケースの素材が18Kゴールドやプラチナになったり、GMT機能が追加されたりすると価格は更に高くなります。また、この基本料金にパーツ交換代が加算されるため、最終的には8万~12万ほどのオーバーホール代になることを想定しておいた方が無難です。正規オーバーホールは絶対的な安心感がありますが、高価なモデルになればなるほど修理代は高くなっていく点には注意が必要だといえます。
・正規修理には絶対的安心感がある
・オーバーホール代は高額。10万円以上になることもザラ
・手厚い2年間のメーカー保証
・東京丸の内の店舗に持ち込むか郵送すれば修理を受け付けてもらえる
選択肢② 民間の時計修理業者に依頼をする
正規修理の安心感は魅力的だけど、高すぎる。そう思う方は民間の時計修理業者に依頼をすることをオススメします。言うまでもないかもしれませんが弊社(宝銘堂)も民間の時計修理業者になります。
業者によって作業の品質にはバラツキがありますが、正規サポートと同等のクオリティーを誇る優良業者もあるため、評判の良い業者に依頼さえすればかなり得をすることが出来ます。
ロレックスは高級時計の中で最もユーザーが多いブランドであることからパーツの流通量が多く、ヴィンテージ品やアンティーク品でもない限り社外パーツが使用される確率は低いです。そのため民間の修理業者でも問題なく修理することが可能です。修理業者によってオーバーホール代は様々ですが、概ね正規修理の4割~6割ほどの価格が相場となっています。この価格は非常に魅力的です。
ただし、いくら安いからといって「とにかく安さだけ」で選んでしまってはいけません。メーカーの正規修理とは違い、修理業者によって技術や品質にバラツキがあるため、安かろう悪かろうの業者も中には存在するからです。そのため、民間の修理業者でオーバーホールを受ける場合は「技術力に定評のある優良業者」を選ぶことが必須です。
そのため「今回は民間業者にして次は正規サポートを受けよう」と考えず、正規サポートを受け続けるか、優良民間業者を利用し続けるか、どちらかに決めたほうが良いでしょう。
【優良業者を選ぶポイント】
■優良時計店と提携している修理工房
■規模が大きく、1級技能士によって対応されること
■企業ページ(自社サイトHP)ではなく、口コミを参考にすること
修理業者を選ぶ際には企業としての規模の大きさも重要視した方がいいです。小規模でも高い技術力を持つ業者もありますが、数百万円規模の機材が必要となる時計修理においては、ある程度の規模を誇る業者を選ぶ方が無難です。加えて、注目したいのが「1級時計修理技能士」がオーバーホールを担当しているか否か。時計技能士は3級~1級まである国家資格であり、1級所持者は高い知識と技能を持っていることを証明する資格です。極端にオーバーホール代が安い業者は1級時計修理技能士を置いていない可能性が高いので、WEBページ上でチェックするなどして一度確認してみてください。
また、優良時計店と提携している工房は信頼性が高いといえます。時計を購入するときは価格だけでなく購入後のメンテナンスも考えるとよいでしょう。そして購入後は時計店を通してメンテナンスを依頼するのがベストです。
優良時計店はGOOGLEで「●●店 クチコミ 評判」等で調べればすぐにわかります。時計修理やサービスの質はすぐに拡散されますので、口コミを参考にすればその時計店が信頼できるのかどうかは判別することができるはずです。優良時計業者が施すオーバーホールは正規メンテナンスと殆ど遜色がないため、総合的なコストパフォーマンスは大変優れているといえます。あえてデメリットを挙げると、保証期間が正規修理よりも少し短いことが多いことでしょうか。手前味噌で恐縮ですが弊社は正規店と同じ2年保証をお付けしております。
・正規修理と比べると、4割~6割程度とオーバーホール代が安い
・修理業者によってクオリティーが大きく異なる
・優良時計店で購入し、時計店を通してメンテナンスに出す
・優良業者を選べば正規修理と遜色ないクオリティーでオーバーホールが可能
・保証期間は正規修理(2年)に比べて短いことが多い(大体は半年~1年)
まとめ
ロレックスのオーバーホールは日本ロレックスで正規サポートを受けるか、または民間の修理業者に依頼するかの2択です。本来は正規サポートに依頼するのが安心なのですが、どうしても修理費が割高になってしまうのが難点です。正規サポートで3年に1回オーバーホールを受けると3年間で最低65,000円、1年間に換算すると2万円ほどのランニングコストがかかります。正規修理じゃないと絶対に嫌だという方でなければ、優良修理業者に依頼したほうが総合的なコストパフォーマンスは高いといえます。