風防(ガラス)

腕時計のガラス交換

ミネラルガラス

主に5万円以下の腕時計で使用されることが多いミネラルガラスの特徴を以下に記します。

ミネラルガラスはごく一般的なガラスを指します。ですので通常はミネラルを省略しガラスと呼ぶことが多いです。ミネラルガラスはサファイアガラスほどの硬度はありませんが(※モース硬度:3〜6)、廉価で加工がしやすく、カジュアル時計を始め多くの腕時計に採用されています。

※モース硬度:モース硬度とは、鉱物の硬さを表す尺度の1つです。1〜10の10段階で評価され、10に行くほど硬いです。

注意点:細かな傷は修復が難しいミネラルガラスの注意点として、後述するプラスチック風防のように研磨でメンテナンスができないので、小さな傷でもそのまま残ります。また、通常のガラスですので、強い衝撃を与えると欠けたり割れたりしてしまい、文字盤を傷つけるリスクもあります。

サファイアガラス

サファイアガラスは高級時計に最も多く採用されている「ガラス」です。

別名「サファイアクリスタル」とも呼ばれています。ちなみにガラスという呼称はあくまで便宜上で、実際にはガラスではありません。人工サファイアの粉末を水素バーナーで2000℃まで熱し、溶かして結晶化させた素材です。

サファイアクリスタルは天然宝石のサファイアと同等の硬度(モース硬度※:9)をもち、傷が付きにくいという特徴を持っています。

一方で「コストがかかる」「割れるときは派手に割れる」というデメリットもあります。それぞれについて簡単にご説明すると、まず前者は優れた性質を持つがゆえ、加工に非常にコストがかかります。そのため、腕時計のガラスとしては理想的な素材でありながらも採用されているのは高級時計が大半です。また後者について、一般に硬い素材であればあるほど割れるときはパキっと派手に割れてしまいます。普段の生活で割れてしまうことはほとんどないとは思いますが、コンクリートに打ち付けるなどといった強い衝撃は与えないように注意しましょう。

プラスチック風防

プラスチック風防とは、「プラ風防」、商標として「プレキシガラス」と呼ばれることもあるプラスチック製の風防です。腕時計の黎明期から使用され続けてきた、非常に歴史のある素材です。1940年代~60年代ごろの腕時計に多く使われていましたが、1970年頃から文字盤を覆う素材としてガラスが普及したことから、次第にその姿は見られなくなりました。そのためプラスチック風防は、基本的にヴィンテージ品やアンティーク品に多く採用されています。

プラスチック風防はドーム型の形状が魅力!プラスチック風防は、何と言ってもその形状が魅力的です。ガラスは硬く加工が難しい素材であるが故、表面がフラットな形状をしています。一方プラスチック風防は強度を上げるためにカーブを描いたドーム型の形状をしていることが多く、この形状はとても個性的です。ドーム型の形状はアンティークウォッチの象徴ともいえ、コレクターの方には、このエッジ部分の雰囲気を好まれる方が多くいらっしゃいます。

プラスチック風防のモース硬度は2前後で、これは人の爪や琥珀程度の硬さを示します。柔らかい素材のため、浅い傷は磨いて消すことができるという他の風防の素材にはない特徴がありますが、やはり傷はつきやすいです。